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3億円事件きょうで50年。日本は若く活力のある、ステキな時代だった

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稚拙な一人芝居でまんまと3億円を

きょう12月10日は『3億円事件』からちょうど50年だとか。今の子たちに話しても当時の懐メロよりこの事件のことを知らないし、知らなくて当たり前だ。

3億とかプロ野球の選手でも普通に獲ってるし、広島から巨人にFA移籍した丸なんて、5年で35億円。3億円はインパクトはないかもしれないが、今なら20億円の貨幣価値らしいから、当時は庶民じゃなくても度肝を抜かれたんだよ。
それとこれだけの"仕事"を現場でたったひとりでやったのにも、当時は誰もがビックリだった。

白ペンキで塗ったオートバイ、稚拙なシュチエーション、クルマの発煙筒…
『あっ、ダイナマイトが!クルマから離れてください!』って、そんな学芸会並みの文言で大の男4人が言うことを聞いたんだから、純情な時代だったんだと思う。

あれから半世紀。10年毎の節目ではニュースにもなってきたが、もう50年という区切りだ。今後はもう語られることもないと思う。

 

ハロウィンの犯人捜しより1万倍簡単だったと思うが

しかし何故、捕まらなかったんだろうか。当時から今まで、いろんな推理を元にした書籍がたくさん、出版された。
何冊か読んだが私は遠藤周作の『ただいま浪人』が1番、文学的で面白かった。やはり大作家だ。ほかのドキュメンタリー作家などとは、話しの組み立て、深さが違ったように思う。

ことしになり、真犯人を自称する男のインターネット小説が話題にもなったが、私は眉にツバしている。
出版された膨大な本を資料にしたら誰でも書けるだろうなと思うが、節目の年、その発想には感心はしているが。

さて、ずっと言われてきたことだか、捜査の杜撰さはやはり酷かったと思う。私も事件のプロのつもりだが、今更ながら残念な思いで一杯だ。
乗り換えたカローラ、ニセ白バイはじめ大量の物証。バイクにはペンキを塗った時の指紋までついていたというから、何をか言わんや。

 

犯人は警察官の息子説まで

結局、物証を潰さずに聴き込みばかり続けたと、当時の関係者も証言する。
あと私はひじょうに気になっていたのが、『現職警察官の息子犯人説』。この男は事件直後、自殺したといわれるが、真相はヤミの中。
ただ、数日前のテレビ番組に、数年前の録画で登場した当時の刑事が『犯人は白バイ警官の息子と言われていたことも』と、あっさりと。

"あれだけ幼稚な事件が解明されなかったのは、関係者の身内が犯人だったら困る警視庁が、捜査に熱心じゃかったからだ"との声もあったが、それさえ、いまとなったらナゾとなっている。

 

ワクワクする時代だった

1968年12月10日。とにかくワクワクする時代ではあった。パリでは5月革命が起こり、ベトナム反戦運動は世界に広がっていったし、年が明ければ日本の大学も学園紛争が吹き荒れた。

総理大臣は佐藤栄作。霞ヶ関ビルが完成し、GNPはアメリカに次ぐ2位となった。メキシコオリンピックでは日本サッカーが銅メダル、少年ジャンプ創刊もこの年。
街には黛ジュンの『天使の誘惑』やいしだあゆみの『ブルーライトヨコハマ』が流れ、女性歌手全盛の時代だった。
ちなみに3億円は東芝府中工場の4500人分のボーナスで、一人当たりは66700円。全て保険で支払われたという。
生まれてから知っている事件では、最高に痛快といえる。

もりもと なおき

  • この記事を書いた人

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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