税金での現金給付を公約に、市長選に臨むのはありか?
先月、行われた愛知県岡崎市長選挙で、告示直前にコロナ対策として市民1人当たり5万円の給付を公約した新人が予想に反し、現職を破り当選した。
この候補に対しては、税金を使った事後買収じゃないのかとの批判も当然あった。コロナ禍を利用したに等しく、本来許される公約ではないだろうと、考える。
この給付に必要な市民39万人分、総額195億円の支出は条例制定が必要だが、新市長が提案したら市議会は毅然と否決すべきだろうと思っていた。
こうした悪しき前例をつくってしまえば今後、全国の首長選挙に及ぼす影響はあまりに大きいからだ。
早くも公約違反!議会の空気よみ議案から取り下げ
しかし幸いと言おうか、どうやら議会の空気から、反対されるのは確実とみたのか。どうやら議案から取り下げることを市長は決めたようだ。
今後は低所得者を対象にした給付に切り替えることを検討していくようだが、当選早々の最大の公約違反。市民らに不信感を与えそうだ。
岡崎市長選挙…予想に反し現金給付公約の新人が圧勝
この市長は無所属で共産党が推薦した中根康浩氏。現職で自民、公明、立憲民主、国民民主、連合が推薦した無所属の内田康宏氏に3万票の大差をつけて圧勝した。
中根氏は衆院議員を4期務めており、かなりの知名度はあった。
しかし下馬評では現職内田氏の体制は磐石、誰も新人中根氏の勝利は当初、厳しいと見られていた。
ところが告示が近づきコロナ対策の5万円給付を公約にしたことで、大きく流れが変わったようだ。もちろん他にも80億円の多目的ホール建設に反対、PCR検査の拡大なども市民の共感を得たことは、否定できない。

悪しき前例にしないため、市議会は否決当然だった
しかし、良い公約が多数あってもそれはそれ。やはり現金給付の約束はおかしい。
中根市長は議会の反対空気をよみ、早くも5万円の公約は破られそうだが、前から市長がこんな下衆な公約で負けたのだとしたら、本当に気の毒な話だ。
市議会で与党である共産党はわずかに2名。100%議会で否決されることは目に見えているからだ。
悪い言い方だが、有権者をカネで釣るような、悪しき前例は絶対につくってはいけない。
もりもとなおき