NHK大河は明智光秀が主人公となる『麒麟がくる』
まもなくNHK大河ドラマ『麒麟がくる』がスタートする。準主役で濃姫を演じることになっていた沢尻エリカが、違法ドラッグで逮捕され、配役が交代するなど、スタート前からケチが付いてしまった。
しかしイメージダウンにはなったものの、逆に大きな話題となり、番組的には大きなPRになったのではないか。
今回は戦国時代の武将、明智光秀が主人公だ。光秀と言えば織田信長や豊臣秀吉、徳川家康と同時代に生きたことで、戦国時代劇には欠かせないないキャラクターだ。

58作中、18作に登場だから、もはや光秀は大河ドラマの常連
当然、信長や秀吉を描く時、必ず欠かせない人物として登場した。これまでのNHK大河ドラマの歴史でも、なんと過去58作のうち15作に登場しているというから驚きだ。今度はついに主役となった。
初めては1965年の『太閤記』だったが、その人物像は毎回、大きく、時には微妙に変わってきた。


裏切り者など良いイメージが全くなかった光秀だが…
われわれ世代は実は明智光秀には良いイメージは全くない。普通、"明智光秀"という名を聞くと多くの日本人が一番に思うのが"自らの主君である織田信長を本能寺の変で殺した裏切り者"という、極めて狡猾で悪役なイメージが作られている。
このイメージも私は伝承されてきた物語からだと思うが、やはりNHKドラマからのイメージもわれわれには大きく影響している。実際、信長を本能寺で討ったが、真相はいまだに謎に包まれているのにだ。

3日天下の言い伝えは主君信長焼き討ちから
『三日天下』という言葉がある。これは悪い手段で上り詰めても、栄華は長くは続かない、との例え。
主君を裏切って天下をとっても、光秀の天下は3日(実際は3日ではない)しか続かなかったことから、生まれた。
私自身も少年時代、NHK大河ドラマで本能寺が焼き討ちされ、信長が倒される場面を見ながら、親にそんな知識を入れられた記憶がある。
さようにNHK大河ドラマは戦国時代の歴史という意味において、完全にフィクションと思っている日本人は少ない。ある程度、史実に基づいているんじゃないかと。
主人公の今こそ明智光秀のイメージの一新を
全く別の次元の思い込みであるが、例えばお市の方を若尾文子や夏目雅子が演じたことで、"お市の方=美人"というイメージは完全に私の頭には定着している。
そんな訳で16回目となる明智光秀。果たして『麒麟がくる』ではどのように描かれていくのか。
大河ドラマでは次第に有能で人間味のある人物に描かれてはきたが、やはり知らずに知識として入っている悪いイメージはなかなか払拭できない。
今回は何と言っても主人公だ。明智光秀の名誉を挽回すべき義務がNHKにはあるのかもしれない。
もりもと なおき